プログラミング思考の入門書
情報
著者:ひぐま
発行:2020年1月11日
目次
- はじめに
- プログラミングとは何か?
- プログラミング的思考の基本
- アルゴリズム
書評などなど
「プログラミング的思考」とは。
2020年よりプログラミング教育が小学校教育の現場に導入された。その目的の一つに、「プログラミング的思考」を身につけさせるということが上げられている。そんな今後注目されている思考法について、超絶シンプルにまとめられているのが本著だ。
その内容はあまりにシンプルで、本著のページ数は表紙やあとがきを含めて58ページという収まりの良さである。しかも命題とすべき「プログラミング的思考」の本質について議論されているのは、第三章『プログラミング的思考の基本』のみで、第四章『アルゴリズム』は演習問題とその解説が列挙されているに過ぎない。
そもそも「プログラミング的思考」とは何かという問いに対し、本著では『「作業を分解すること」「物事を抽象化すること」を組み合わせ、作業手順を考えること』とまとめている。
それを実際にプログラミングで利用する際の基本が、第三章『プログラミング的思考の基本』でまとまられている。ここではC言語やPythonといったように多岐に分かれるプログラミング言語のどれでも通用する考え方をまとめており、その考え方を実際に使った場合――要はアルゴリズムを作ろうとすることを演習問題で練習する……という構成になっている。
演習問題の一つを例としてあげてみよう。
演習問題1では、『うるう年の判定』を行わせるアルゴリズムを考える内容だ。うるう年の条件としては、下記の三つがあげられる。
- 西暦が4で割り切れる年はうるう年である
- ただし100で割り切れる年はうるう年ではない
- ただし400で割り切れる年はうるう年である
この条件をベースに、4で割った際の余りを考えたり、それぞれの条件に優先順位をつけたりといったことを思考し、プログラムを書く際にフローチャートを作成。解説自体は2ページくらいでまとめられている。
こういった演習問題が6個あり、それぞれの簡単な解説が繰り返される。
アルゴリズムを学びたいという方には、些かボリューム不足感は否めない。本気で取り組みたいという方は、アルゴリズムを専門にまとめた書籍が探せばあるので、そちらを参照すべきであろう。
まとめると本著は本当の意味で入門書となっている。入門する上で、門の前に立つための準備とでもいうべきか。この一冊をやりきったところで、ようやく入門の門の前に立つことができて、そこから一歩踏み出すと深淵が待っている。
それでもある程度の指標があれば、深淵に落ちることなく歩ける。その指標としては役に立つかもしれない。